5ちゃんねるなどの掲示板を見ていると、「消費税を撤廃したら円安になる」と平然と書き込む人がいます。しかし、為替の動きや通貨価値の決まり方を少しでも学べば、この主張がどれほど乱暴で誤ったものかすぐ分かります。本記事では、ネットに蔓延する“経済音痴”の誤解を解きほぐし、なぜ「消費税と円安は関係がないのか」を論理的に整理して解説します。
円安・円高は「通貨の相対的な発行量」で決まる
為替レートは「円とドルのどちらがどの程度供給されているか」「どちらがどれほど需要があるか」という二国の通貨の相対的な需給で決まります。どちらかの通貨が多く発行されれば価値は下がり、希少であれば価値は上がる。それだけの話です。
現在、アメリカや欧州はコロナ以降に大規模な通貨供給を行ってきました。一方、日本の通貨供給量(マネーストック)は主要先進国の中で最も伸びが小さい。つまり、日本円は相対的に希少ではなく、結果として円安になりやすい構造が生まれています。 ここに「消費税の有無」が入り込む余地はありません。
消費税と為替レートは無関係
消費税は国内消費にかかる税であり、為替レートを決めるのは中央銀行の金融政策や国際資本移動です。この二つはまったく別の領域の問題です。
世界の消費税率と通貨価値には相関がありません。
- アメリカ:消費税ゼロ(連邦)だがドルは基軸通貨
- ドイツ:消費税19%
- スイス:消費税8%
- シンガポール:9%
税率の高低と通貨価値は全く関係なく、「消費税を撤廃すると円安になる」という発想自体が間違っています。
むしろ消費税撤廃は円高要因になり得る
論理的に考えれば、消費税撤廃は可処分所得を増やし、消費を押し上げ、企業の売上や投資意欲を高めます。これは結果的に経済成長率を押し上げる要因になります。
成長率が高まれば海外からの投資が増え、円への需要も上がるため、これは円高圧力となります。つまり「消費税撤廃=円安」は、因果関係として逆方向ですらあるのです。
なぜネットで誤解が広がるのか
5ちゃんねるなどに誤解が広がる背景には以下の要因があります。
- 消費税=国の収入という単純化した思考
- 「財源」「国の借金」といった言葉への強い反応
- 金利差・通貨供給量・資本移動など為替の本質を理解していない
- 経済学の基礎知識不足
「税金が減る=国が貧しくなる=円安」という安直な連想が誤解を生みます。しかし現実の為替は、そんな単純な構造ではありません。世界中の投資家が、通貨供給量・金利差・政治の安定性・成長率など複数の指標を総合しながら通貨を売買しています。
結論:消費税撤廃と円安は無関係
結論は明確です。
消費税を撤廃しても円安にはならない。むしろ経済成長を促し、円の需要を増やし、円高方向に働く可能性すらある。
為替レートの本質は「通貨の相対的な発行量と需要」であり、税率は関係ありません。感覚的・雰囲気的なネット議論ではなく、データと論理に基づく思考こそが誤情報に流されないために必要です。

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