日本銀行の植田和男総裁の発言や政策運営を見ていると、「何が何でも金利を上げる」という強い意思がにじみ出ている。そのために日本経済がさらに悪化し、「失われた30年」が40年になろうとも構わない、そうした姿勢すら感じられる。
現在の日本経済の実態を無視した利上げは、もはや政策判断ではなく、信念に基づく強行である。
植田総裁は最初から利上げありき
植田総裁の就任以降の発言を振り返ると、物価や賃金の実態を慎重に見るというより、「異次元緩和からの出口」を正当化するための理屈作りに終始している印象が強い。
現在の物価上昇は、需要拡大によるものではなく、エネルギー・原材料高、円安、人手不足といったコストプッシュ要因が中心である。実質賃金は下がり続け、個人消費は力強さを欠いている。この状況で利上げを行えば、景気を冷やす効果しか持たない。
それでも利上げを進める姿勢は、「経済の回復」よりも「金融政策の正常化」という自己目的化した目標を優先しているように見える。
長期金利2%を巡るメディアの歪んだ説明
TBSの情報番組「ひるおび」では、国債の長期金利が2%まで上昇した背景について、高市早苗首相による国債発行姿勢が原因であるかのような説明がなされた。
しかし、これはあまりに短絡的だ。債券市場において金利は日々上下するものであり、2%という水準自体も、歴史的に見れば異常な数字ではない。市場が将来の金融政策や景気後退を織り込んで動くのは当然のことである。
利上げの責任を政治に押し付ける構図
むしろ問題なのは、日本銀行自身が利上げによる景気悪化を予見している点だ。利上げを行えば、企業の借入コストは上昇し、設備投資は抑制され、家計は消費を控える。これは誰が見ても分かる結果である。
その結果として経済が悪化した場合、その責任を「国債を発行した政治」に転嫁するための布石として、メディアを通じた世論形成が行われているように見える。
これは政策論争ではなく、責任逃れのための構図作りだ。
日銀が本当に恐れているもの
日銀が恐れているのは、国民生活の悪化ではない。国債市場の歪み、海外投資家からの批判、「いつまで緩和を続けるのか」という国際金融界の視線である。
その結果、国内経済の現実よりも、金融機関や市場関係者の評価を優先する政策運営に傾いている。
結論:失われた時間をさらに延ばす愚策
コストプッシュ型インフレ下での利上げは、日本経済にとって百害あって一利なしだ。必要なのは金融引き締めではなく、可処分所得を増やす政策と、企業が賃上げできる環境整備である。
日銀がこのまま「利上げありき」の姿勢を貫けば、失われた30年はさらに延びる。その責任は、決して政治だけに押し付けられるべきではない。

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