日本の経済停滞は、単なる不況や国際情勢のせいではない。
最大の要因は、国家の経済運営に対する誤解と、「増税こそ健全財政」という錯覚にある。
日本は30年以上、デフレという長い冬に閉じ込められてきたが、それは“政府が経済を育てることを恐れた”結果でもある。
通貨発行=無制限なバラマキではない
「国が通貨を発行すれば何でもできる」と言うと、すぐに「それはハイパーインフレを招く」と反論される。
だが、ここで重要なのは「どれだけ発行するか」ではなく、「どのように使うか」だ。
通貨発行の目的は、単にカネを増やすことではない。
需要を喚起し、生産を拡大させ、経済の循環を正常化させる——それが政府支出の本来の役割である。
つまり、通貨発行とは「良いインフレ」を作るための手段なのだ。
物価が適度に上昇し、企業の売上と賃金が上がる環境こそが健全な経済成長の姿である。
税金を上げることではなく、通貨の流れを意図的に活性化させることで、国民の生活は豊かになる。
安倍政権が挑戦した“デフレ脱却”
2013年、安倍晋三首相の掲げた「アベノミクス」は、長期デフレの日本に希望を与えた。
日銀の金融緩和と政府の財政支出を組み合わせ、物価上昇率2%を目標にした政策は理論的にも正しかった。
企業の業績は回復し、株価も上昇、雇用も改善の兆しを見せ始めていた。
つまり、経済のエンジンは確実にかかり始めていたのである。
ところが——政府はその途中で「消費税増税」を実行してしまった。
2014年、たった3%の増税が、せっかく動き出した日本経済の機関車にブレーキをかけた。
企業の設備投資は急減し、個人消費は冷え込み、再びデフレ圧力が強まった。
金融緩和だけではカバーしきれないほどのダメージだった。
もし“あと1年”増税を延期できていれば
安倍政権の失敗は、政策そのものではなく「タイミング」にあった。
もし、もう1年だけ消費税増税を延期していれば、日本経済は自力で成長軌道に乗っていた可能性が高い。
需要が十分に回復し、企業の賃上げが進み、物価が安定的に上がる——そうなれば、自然に税収も増えていた。
つまり、増税をしなくても“税収増”は実現できたのだ。
だが、財務省は「財政再建」を大義名分に、増税を強行した。
その結果、日本経済のエンジンは再び止まり、今日に至るまで「賃金が上がらない国」となってしまった。
この罪は重い。
安倍元首相が掲げたデフレ脱却の試みは、財務省の呪縛によって潰されたのである。
財務省が信奉する「財政法第4条」の呪縛
財務官僚が「財源がない」と言い続けるのは、財政法第4条があるからだ。
「国の歳出は国債によって賄ってはならない」というこの戦後ルールは、もはや時代遅れである。
物資不足の戦後日本を想定した条文を、デフレと人口減少の時代にも適用し続けることが誤りなのだ。
むしろ今こそ、「国家は需要が足りないときは通貨を発行して経済を支える」という条文に改めるべきである。
政府支出を恐れていては、民間経済は永遠に立ち上がれない。
国が先に動くことで企業と個人が安心して投資し、雇用が増え、税収が安定する。
この循環こそが「良いインフレ」であり、成熟経済国家の自然な姿なのだ。
結論——日本経済を回復させるのは“増税”ではなく“自信”
日本が必要としているのは、新しい増税計画ではない。
国民の消費と企業の投資を信じ、政府が責任を持って支出を続けるという「自信」である。
通貨発行は万能ではないが、使い方を誤らなければ、国家の体力を取り戻す最も確実な手段になる。
そして、それを3年間継続すれば、日本経済は自力で走り出す力を取り戻せる。
日本の失われた30年は、通貨ではなく「国家の自信」を失った30年だった。
これからの3年を、緊縮ではなく「成長のための支出」に変えられるか。
それが、日本が再び活力を取り戻せるかどうかの分かれ道である。

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