池田信夫の主張と現実の乖離
池田信夫氏は最近、17兆円の補正予算が出れば「金利上昇と円安が進む」と主張しました。一見理論的ですが、現実の日本経済を踏まえると、かなり短絡的な見方であることがわかります。理論だけを知って、現実との整合性を確認していない典型例です。
GDP比で見る補正予算の規模
17兆円では景気刺激としては物足りない
17兆円は日本のGDP約1000兆円の 1.7%程度に過ぎません。経済学的には、需要不足を解消するには少なくともGDP比2%程度の財政支出が必要です。17兆円では景気刺激は限定的で、金利や円安の圧力はほとんど生じません。
さらに日本は長期的なデフレ傾向が続き、需要不足が慢性的です。この状況下では、17兆円の支出ではインフレを押し上げる力も弱く、単なる国債残高増加に終わる可能性が高いです。
金利が上がらない理由
現実の市場では金利は簡単に跳ねない
池田氏は「国債発行増=金利上昇」と単純化しますが、日本では事情が異なります。国債の大半は国内で保有され、海外の売り圧力は限定的です。さらに、日銀のイールドカーブコントロールにより長期金利は市場の自由裁量だけではほとんど動きません。需要不足が続く限り、自然な金利上昇圧力も弱いのです。
円安も進まない理由
財政規模が小さく、通貨信認は揺らがない
円安を引き起こすには、国債リスクが市場に十分認識される必要があります。しかし、17兆円は日本経済全体から見れば小規模であり、通貨の信認に影響を与えるほどではありません。よって、円安は現実にはほとんど起きません。
効果的な補正予算の条件
支出の規模と税収増効果が鍵
単なる国債発行では借金が増えるだけで、経済にはほとんど影響を与えません。重要なのは、支出規模を **20兆円以上** にして経済全体を押し上げ、税収増を誘発することです。これにより、国債発行と税収が相殺され、持続可能な財政拡張となります。
理論と現実のギャップ
理論を知っているだけでは不十分
池田氏は理論は知っていますが、現実の数字や市場構造に照らして検証する能力が欠落しています。経済理論を聞きかじっただけで「こうなるはず」と結論を出すのは、経済を俯瞰的に理解できていない証拠です。
結論
理論と現実を照らし合わせる視点が必要
17兆円の補正予算では金利上昇や円安はほとんど期待できません。池田信夫氏の議論は理論上は正しいかもしれませんが、現実の規模感や政策効果を無視した近視眼的な主張です。経済を理解するには、理論だけでなく、数字感覚や政策全体を俯瞰する力が不可欠です。
政策や経済の議論を行う際には、理論と現実を照らし合わせ、机上の理論だけで短絡的な結論を出さないことが重要です。

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